スマホの見すぎを減らす5つのコツ:研究が実際に示していること
画面を白黒にする、アプリを開く前にひと呼吸置く、通知をまとめる。スマホの見すぎやだらだらスクロールを減らすためによく勧められるコツについて、最近の研究が実際に示していることを、ひとつずつ整理します。
論点 2026年10月15日 公開 読了 12 分
執筆:Nicolas Carrion pourquoi.app 開発者
スマホを置く。30秒後には、もう手の中にあって、Instagram が開いている。開こうと決めたわけでもないのに。こうした無意識の動作を止めるコツは、あちこちで紹介されています。画面を白黒にする、通知を切る、スマホを別の部屋に置く、開く前にひと呼吸を挟むアプリを入れる。
では、本当に効くのはどれでしょうか。うれしいことに、ここ数年、研究者たちがそのいくつかを実際に試しています。それも、自己申告だけに頼らず、スマホでの使用状況を直接記録して調べています。ここでは、そうした研究が示していることを、コツごとに見ていきます。
まとめ:ちょうどいいところに小さなひと手間を挟むと、スクロールは減らしやすくなります。研究で期待の持てる結果が出ているコツは、3つです。1つ目は、アプリを開く前のひと呼吸です。特に、ワンタップでやめられる形のものがよい結果を出しています。2つ目は、使う時間が1日20〜28分減る白黒の画面です。3つ目は、通知を切るのではなく、1日数回にまとめて受け取ることです。
よく勧められるコツのなかには、効果がまだ検証されていないものもあります。また、研究のほとんどは数週間で終わります。最初の数週間に効くものはわかっていても、その効果が何か月も続くかどうかは、まだあまりわかっていません。
いちばん簡単なのは、2つか3つに絞って、スマホに手が伸びるその瞬間に働きかけることです。
先に言っておきます。私は研究者ではありません。取り上げたのは2019年から2026年の研究で、スマホでの使用状況を実際に測ったものを優先し、それぞれに出典へのリンクをつけています。また、私は pourquoi.app を開発しています。自分で選んだアプリを開く前にひと呼吸を入れる、まさにこのテーマのアプリなので、中立な立場ではありません。アプリのことは、最後に少しだけ書きます。
決めたわけでもないのに、なぜスクロールしてしまうのか
反射のスクロールは、意志の弱さのせいではありません。習慣です。電車を待っているとき、長い1日を終えてソファに座ったとき、通知が届いたとき。そうした状況がきっかけになって、考えるより先に動作が始まります。習慣を研究する心理学者のウェンディ・ウッド(Wendy Wood)氏によれば、私たちは日々の行動のかなりの部分を、自動操縦でこなしているそうです。そして、「意志が強い」ように見える人は、おもに誘惑されにくいように暮らしを整えているのだといいます。
そこで出てくるのが、ひと手間を増やすという考え方です。無意識の動作を、自分で決める時間が生まれる程度に、ほんの少しだけやりにくくするのです。ここで紹介する5つのコツは、アイコンをタップする一瞬に働きかけるものから、1日全体に関わるものへと、順に並べています。
1. Instagram や TikTok を開く前に、ひと呼吸置く
しくみ:自分で選んだアプリのアイコンをタップすると、アプリが開く前に、ひと呼吸置くための画面が挟まります。そのまま開くか、やめるかは、そこで自分で選びます。これには、one sec や pourquoi.app のようなアプリが必要です。
研究でわかっていること:2023年、ドイツの研究者3人が、科学誌 PNAS に、one sec の実際の使われ方を調べた研究を発表しました。one sec は、アプリを開く前に数秒の待ち時間を挟むアプリです。3人のうち1人は one sec の開発者です(one sec は pourquoi.app の競合アプリです)。研究チームは280人を6週間追跡しました。
- アプリを開こうとした回数のうち36%で、利用者はそのまま開くのをやめました。
- アプリを開こうとする回数は、1週目から6週目にかけて37%減りました。
- この2つを合わせると、対象のアプリを実際に開いた回数は約57%減った、と著者たちは述べています。
このしくみのどこが効いているのかを知るために、同じ研究者たち(Grüning、Riedel、Lorenz-Spreen)は、オンラインで500人の参加者を対象に、要素をひとつずつ切り分けて試してもいます。いちばん効いていたのは、アプリを開こうとしたまさにその瞬間に、ワンタップでやめられることでした。2024年に発表された2つ目の研究では、1000人以上の利用者の使用状況が、平均3か月にわたって分析されました。この研究にも、one sec の開発者が加わっています。利用者は、3回に1回は開くのをやめ、開こうとする回数も週を追うごとに減っていました。
ミシガン大学のチームは、別のアイデアを試しました。決めた時間が来たらアプリをブロックするのではなく、アプリの反応を少し鈍くするのです(操作への反応を遅くする、スクロールの動きを少しぎこちなくする)。42人を5週間調べたところ、このゆるやかなやり方はブロックよりも少しだけ効果があり、参加者にもずっと受け入れられやすいものでした。
限界:one sec の研究の参加者は、自分でアプリを入れた希望者で、比較の対象になるグループもありませんでした。誰がアプリを使うかを無作為に決める研究が必要だと、著者たち自身が述べています。ミシガン大学の研究は小規模で、対象は Android だけです。
結論:有望です。そのひと手間が、やめるかどうかを選ぶ余地を残しているなら、なおさらです。そして、タイミングも大切です。挟むのは、動作の直前です。
2. スマホを白黒にする
しくみ:画面をグレイスケールにして、アイコンや赤いバッジ、動画の魅力を弱めます。
- iPhone:「設定」→「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストサイズ」→「カラーフィルタ」。「カラーフィルタ」をオンにして、「グレイスケール」を選びます。サイドボタンのトリプルクリックでオンとオフを切り替えるには、「設定」→「アクセシビリティ」→「ショートカット」で「カラーフィルタ」を選びます。
- Android:設定の場所はメーカーによって違います。いちばん簡単なのは、たいてい Digital Wellbeing のおやすみ時間モードです。自分で決めた時間帯に、画面をグレイスケールにしてくれます。
研究でわかっていること:
- 大学生112人を複数のグループに無作為に割り振った試験(2023年発表)では、白黒にした最初の数日からスクリーンタイムが減り、時間制限を使うより早く効果が出ました(Zimmermann と Sobolev)。
- 2024年のオランダの研究では、84人が1週間、グレイスケールで過ごしました。もともと1日5時間近くスマホを使っていた人たちで、使う時間は1日約20分減りました。自分で使い方をコントロールできている感覚も強まり、ストレスも減っていました(Dekker と Baumgartner)。
- 医学生を対象にした2026年の研究でも、近い数字が出ています。1日あたり約28分の減少です(Hagerty ら)。
限界:オランダの研究では、参加者がスマホのロックを解除する回数は以前と変わりませんでした。1日約80回です。また、大学生112人の試験では、ウェルビーイングへのはっきりした効果は見られませんでした。ときどき目にする「38分」という数字は、もっと古い研究に由来するもので、私はその研究を確認できていません。
結論:白黒にすると1回ごとの使用は短くなりますが、スマホを手に取る回数は変わりません。補助としてはよい方法です。画面のせいで目が冴えてしまう夜には、特に向いています。
3. 通知:すべて切るより、時刻指定要約にまとめる
しくみ:急がない通知を、絶え間なく受け取るのではなく、決まった時刻にまとめて受け取ります。iPhone では「設定」→「通知」→「時刻指定要約」。対象のアプリを選び、時刻を2つか3つ決めます。たとえば8時、13時、19時です。「ダイレクトメッセージ」は、これまでどおりすぐに届きます。
研究でわかっていること:
- 2019年の試験では、237人を通知の受け取り方の異なるグループに無作為に割り振り、2週間比べました。通知を1日3回にまとめて受け取った人は、より集中でき、生産性が上がり、気分もよくなり、ストレスも減りました。1時間ごとにまとめても、ほとんど効果はありませんでした(Fitz ら)。
- 同じ研究で、通知をすべてオフにすると、不安と、何かを見逃すことへの恐れが強まりました。
- 使用状況を記録した205人を対象にした2025年の試験でも、同じ方向の結果が出ています。通知を1週間オフにしても、スクリーンタイムも、スマホを確認する回数も変わりませんでした。参加者は、習慣で確認しているという感覚は弱まったものの、何かを見逃す不安は強まりました(Dekker、Baumgartner、Sumter、Ohme)。
結論:通知は1日2〜3回にまとめましょう。すべてオフにしても、役に立つとは限りません。確認したい気持ちのほうは残るからです。
4. 夜はスマホを寝室の外に置く
しくみ:スマホをベッドやソファから離れた場所で充電し、手の届かないところに置きます。
研究でわかっていること:効果はあります。ただし、思っているのとは違う形です。2025年の研究で、マクシ・ハイトマイヤー(Maxi Heitmayer)氏は22人に、5時間の作業を2回してもらいました。1回はスマホを手の届くところに置き、もう1回は1.5メートル離れたところに置きます。離れているとき、スマホの使用は半分に減りました。ところが、パソコンでの息抜きは2倍以上に増えました(Heitmayer)。息抜きしたい気持ちは消えていませんでした。画面が変わっただけです。
結論:役に立ちます。ただし、部屋にあるほかの画面のことも考え、代わりにすることを用意しておくのが条件です。夜の過ごし方のヒントは、寝る前の「最後にもう一回だけ」の反射を断つ記事にあります。
5. アプリを制限する、ブロックする:実際に何が変わるのか
しくみ:アプリごとに使用時間の上限を決めます。あるいは、特定の時間帯にアプリを完全にブロックします。
研究でわかっていること:
- 成人約2000人を対象にした米国の大規模な研究(2022年発表)では、自分で上限を決められるようにしただけで、対象のアプリに使う時間が、12週間にわたって1日22分減りました(Allcott、Gentzkow、Song)。
- 約370人を対象にした別の研究では、YouTube を1〜2週間ブロックすると、スマホを使う時間が1日約50分減りました。Instagram の場合は約16分しか減りませんでした。時間の一部が Facebook や TikTok に移ったからです。本当に浮いた時間は、おもに画面を使わない活動に回りました(Aridor)。
限界:上限は簡単に回避できてしまいますし、ブロックすると、使う時間が別のアプリに移ることがよくあります。2つのやり方の違いは、ブロックアプリと「なぜ」を問うアプリの比較で詳しく書いています。
結論:役に立ちます。特に、上限を自分で決めるときに効果があります。制限をかけるのは、いちばん時間を取られるアプリだけにしておきましょう。
まだわかっていないこと
よく勧められるコツのなかには、私の知るかぎり、しっかりした研究の裏づけがないものがいくつかあります。アプリをホーム画面から外す、使うたびにアカウントからログアウトする、アプリをフォルダにしまう。試してみたら効く、ということもあるかもしれません。ただ、その効果を測った研究がまだないのです。
もうひとつ、もっと全般的な限界があります。2023年、イタリアの研究者2人が、スマホを使う時間を減らすためのツールについての研究62件をまとめて検討しました。使用時間への効果は「小から中程度」でした。ただ、こうした研究はほとんどが数週間で終わり、その後まで参加者を追うことはめったにありません(Monge Roffarello と De Russis)。つまり、最初の数週間に効くものはわかっていても、その効果が何か月も続くかどうかは、まだあまりわかっていないのです。
これも、全部を一度に重ねるより、自分に合うコツを選んだほうがいい理由のひとつです。
コツの組み合わせ方
おすすめは、1週間で投げ出してしまうルールを10個つくるより、よく選んだひと手間を2つか3つ取り入れることです。まずは、こんなシンプルな組み合わせから。
- 動作のその瞬間に、ひと呼吸置く。いちばん引き込まれるアプリで、開かずにやめられるようにしておきます。
- 白黒の画面を夜に。苦にならなければ1日中でも。
- 待てる通知は時刻指定要約に。
設定を一歩ずつ進めたいなら、ブロックせずにスクリーンタイムを減らすガイド(iPhone 版、Android 版)が詳しく説明しています。まず時間がどこへ消えているのかを知りたいなら、スクリーンタイム:7日間で、時間がどこへ消えているかを知るで、1日ずつのやり方を紹介しています。
pourquoi.app はどこにあてはまるのか

私が開発している pourquoi.app は、1つ目のやり方、つまり動作のその瞬間にひと呼吸置くタイプのアプリです。iPhone と Android で使えます。自分で選んだアプリを開くと、pourquoi.app が、なぜ今それを開くのかを尋ね、6つの短い答えを示します。「やりとりする」や「楽しむ」のほか、自分でもよくわからないときのための答えもあります。そのあと、アプリに進むことも、閉じることもできます。Android 版は、スマホのロックを解除したときにも問いかけます。
上で紹介した研究と同じように、そのままアプリを閉じるだけでやめられます。それに加えて、理由をひとつ選びます。日がたつにつれて、どのアプリをいちばんよく反射で開いているのか、それがどんなときなのかが、答えから見えてきます。この問いかけ自体は、ここで紹介した研究では試されていませんし、pourquoi.app そのものを試した研究もまだありません。履歴(どのアプリを、いつ開き、どう答えたか)はスマホの中に残ります。「匿名の統計とレポート」をオンにした場合(初期設定ではオフです)、匿名で集計されるのは答えの種類だけで、開いたアプリは含まれません。問いかけは無料で、Premium の価格はトップページにあります。設定は数分で終わります。iPhone の設定ガイド、Android の設定ガイドをどうぞ。
よくある質問
スマホを白黒にすると、効果はありますか?
少しはあります。2024年と2026年の2つの研究では、画面をグレイスケールにすると、スクリーンタイムが1日20〜28分減りました。ただ、参加者がスマホのロックを解除する回数は、以前と変わりませんでした。白黒にすると1回ごとの使用は短くなりますが、反射そのものはなくなりません。
夜だけスマホを白黒にできますか?
できます。iPhone では、「ショートカット」アプリで、好きな時刻に実行されるオートメーションを作り、「カラーフィルタを設定」アクションを使います。Android では、Digital Wellbeing のおやすみ時間モードで、自分で決めた時間帯に画面をグレイスケールにできます。
通知はすべてオフにしたほうがいいですか?
そうとは限りません。205人を対象にした2025年の試験では、通知を1週間すべてオフにしても、スクリーンタイムもスマホを確認する回数も変わらず、何かを見逃す不安が強まりました。2019年の別の研究では、1日3回にまとめて受け取るほうがよい結果が出ました。集中しやすくなり、ストレスも減りました。
スマホから Instagram を削除すると、使う時間は減りますか?
少しは減りますが、時間の一部はほかのアプリに移ります。Instagram を1〜2週間ブロックした研究では、スマホを使う時間は1日約16分しか減りませんでした。一部が Facebook や TikTok に移ったからです。本当に浮いた時間は、おもに画面を使わない活動に回りました。
pourquoi.app は無料ですか?
アプリを開くときの問いかけは無料で、回数の制限もありません。iPhone でも Android でも同じです。有料の Premium では、全期間の統計と週ごとのまとめが加わり、7日間無料で試せます。価格はサイトのトップページにあります。
書いている人
Nicolas Carrion です。スマホとの付き合い方をテーマにしたアプリ、pourquoi.app を設計し、開発しました。研究者でも医師でもないので、この記事の研究と数字にはすべて出典へのリンクをつけ、2026年10月12日にすべて確認しました。経歴と連絡先はAbout ページにあります。
試してみませんか?
pourquoi.app は、反射の前に静かな問いを置きます。起動時の問いかけは無料で、ブロックもしません。一秒立ち止まるだけで、その日が変わることがあります。